尾瀬の成り立ち
尾瀬は、2000mを越える山々で囲まれた盆地状の地形です。
その中で最も古い至仏山は、今から2億年以上前に地面が隆起してできたと言われています。尾瀬の成り立ちには諸説がありますが、数万年前に燧ケ岳の噴火により只見川や沼尻川がせき止められて、尾瀬ヶ原と尾瀬沼が誕生したと言われています。しかし、当時の尾瀬ヶ原は土砂で埋まった盆地でした。
泥炭層は、1cmほど堆積するのに10年の歳月がかかるのです。
■長い年月をかけて発達した尾瀬の低層湿原と高層湿原
やがて周囲の山々から土砂が流れ込み、川の両端に自然堤防が形成され、堤防に挟まれた水はけの悪い場所が湿地となり、水生植物が繁茂しました。この植物は低温のため枯れても完全に腐らず、水中に堆積し「泥炭層」を形成します。
「泥炭層」は、1年間に1ミリ弱しか堆積しません。気が遠くなるほど長い年月をかけて尾瀬の低層湿原は発達していったのです。そして、低層湿原には年月が経つにつれて酸性に強いミズゴケが侵入し始めます。ミズゴケは湿原の中央部ほどよく発育します。枯れたミズゴケは堆積して、「泥炭層」となって凸レンズ状に盛り上がり、高層湿原ができていったといわれています。
低層湿原:ミズバショウなどが生える 中層(中間)湿原:低層湿原が高層湿原になる過程の状態 高層湿原:ミズゴケが水面よりも盛り上がってきている湿原
■本州最大の高層湿原
尾瀬は東西6km、幅2kmにも及ぶ本州最大の高層湿原です。尾瀬ヶ原の中央部では、6000~7000年という長い年月をかけて、4.5~5mもの厚い「泥炭層」が堆積し、今の姿となっています。
■数千年以上の長い時間を要する大いなる自然の営み
もちろん、これらの湿原の発達は数年単位でできるものではなく、数千年以上の長い時間を要する大いなる自然の営みによるものです。いずれの湿原も、地下水などの水分によって維持されているため、人間が踏みつけたり、開発などの影響で地下水位が変化した場合失われてしまう危険性があります。湿原を踏み荒らすことのないよう、湿原の上には木道が整備され、人々が美しい自然を楽しみながらも、直接自然に影響を与えることのないよう工夫されています。
【湿原について】
■低層湿原から中間湿原を経て、最終的には高層湿原へと発達
湿原とは、低温で湿度が多いため、枯れた植物が分解されずに泥炭となって堆積している場所をさします。独特の生態系を持ち、水鳥の生息地としても重要な場所です。湿原は、時間の経過とともに姿をかえます。その変化には段階があり、低層湿原から中間湿原を経て、最終的には高層湿原へと発達していくといわれています。
■低層湿原と高層湿原の違い
低層湿原と高層湿原の違いの一つは、「泥炭」層を形成する植物にあります。最初に、泥の水辺に生えたヨシなどの背の高い植物が水底に堆積し、ヨシの「泥炭」層ができます。水中の「泥炭」層が厚くなり、水面まで積もった状態が低層湿原です。低層湿原には、地下水や流入水によって、常に水分が供給されています。しかし、ヨシの「泥炭」層が年月を経て盛り上がり、凸レンズのように中央部がたかくなると、地下水の水分では湿原を潤すことができなくなります。ここに、雨水だけでも育つことのできるミズゴケが増え、ミズゴケ「泥炭」層ができあがります。このような状態を「高層湿原」と言います。
尾瀬モデルコース
東京方面より尾瀬までの交通について
■JR利用の場合
上越線で沼田駅まで(特急で約2時間10分)または、上越新幹線で上毛高原駅まで(約1時間10分)。
いずれかを利用して各駅前からバスで戸倉(沼田駅から約1時間30分、上毛高原駅から約2時間)経由で大清水登山口へ、
また鳩待峠へは戸倉下車、戸倉からマイクロバスまたはタクシー利用(25分)で行かれます。
また、富士見峠へや戸倉から富士見下までバスまたはタクシーをご利用ください。(料金につきましては変動がありますので別途関係機関等へお問い合わせください。
■車利用の場合
関越自動車練馬I.C.から沼田I.C.まで約1時間30分。沼田I.Cから、国道120号線で鎌田まで約50分。
鎌田から国道401号線で戸倉まで約20分。戸倉から大清水まで約15分。鳩待峠まで約25分で行かれます。
なお、駐車場は大清水、鳩待峠、富士見下、戸倉にあります。
※鳩待峠から入山する場合は、混雑時は津奈木~鳩待峠間はマイカー規制が行われますので、戸倉の駐車場をご利用のうえ、タクシーで鳩待峠へ入っていただくことになりますので、確認の上、お出かけください。
なお、マイカー規制期間以外も戸倉から鳩待峠方面はマイカーの利用を自粛してください。
詳しくは、尾瀬保護財団>尾瀬に行くには?>アクセスをご覧ください。
(出典:群馬県片品村役場むらづくり観光課、片品村観光協会「尾瀬国立公園周辺案内図」 )
尾瀬の四季
■春
5月下旬から、尾瀬の代表的花、ミズバショウが咲き始めると本格的なシーズンになります。
尾瀬の山々も淡い緑に染まるころ、リュウキンカ、ザゼンソウ等高山植物が、次々と美しい花を見せてくれます。
5月から6月に咲く花々:ミズバショウ、ザゼンソウ・ショウジョウバカマ・ワタスゲ・リュウキンカ・チングルマ・タテヤマリンドウ・シャクナゲ・レンゲツツジ等
■夏
7月の声を聞くと尾瀬の春は終り広大な樹木帯は緑を一層濃くし、湿原には待ちくたびれたかのように、いろいろな花が咲きだし、特にニッコウキスゲなどの大群落が咲き競います。
また小鳥、蝶、トンボなど昆虫たちの楽園にもなります。
7月から8月に咲く花々:ニッコウキスゲ・ヒオウギアヤメ・カキツバタ・チングルマ・ワタスゲ・ハクサンチドリ・ヒツジグサ・オゼコウホネ・コバイケイソウ等
■秋
尾瀬の秋は、意外と早くやってきます。9月下旬からはじまる紅葉には、ナナカマドを始めとして周辺の草木が一斉に紅葉し、深い秋色に染まっていきます。
9月以降に咲く花々:ウメバチソウ・ミズギク・アキノリキンソウ・エゾリンドウ・オゼヌマアザミ等
■冬
11月中旬には、至仏山など尾瀬の山々は雪化粧を始め尾瀬は冬に入ります。尾瀬の登山口であるスノーパーク尾瀬戸倉や、ホワイトワールド尾瀬岩鞍・かたしな高原・丸沼高原・オグナほたか・武村牧場・サエラスキーリゾートなど7つのスキー場で雄大なスロープでのスキーが楽しめます。
※なお、冬期間の尾瀬の入山につきましては自粛してください。
(出典:群馬県片品村役場むらづくり観光課、片品村観光協会「尾瀬国立公園周辺案内図」 )
尾瀬の入山にあたって
1.動植物の保護
尾瀬は自然公園法の特別保護地区にまた、文化財保護法による特別天然物に指定されており、枯れ葉1枚、枯れ枝1本でも拾うことが禁じられています。尾瀬の自然を特徴づける湿原は、非常に弱いので木道から降りて自然を踏みつける事のないようご注意ください。また、ペットの持ち込みは野生動物の脅威や、伝染病等の恐れがあります。他の利用者の迷惑にもなりますのでやめましょう。
2.服装
尾瀬ヶ原は標高1,400m、尾瀬沼は1,665m、アヤメ平は1,960mで平地に比べると気温が8~12℃も低く、天候も変わりやすいので、セーター、ジャンバー、雨具をご用意ください。また、残雪期(6月下旬まで)は、スニーカーでは、危険です。
3.平日のご利用をおすすめします
尾瀬を訪れる人は、6月上旬のミズバショウ、7月下旬のニッコウキスゲ、10月上旬の紅葉、それも週末に集中しています。尾瀬をゆっくり楽しむために、平日にお越しください。
4.注意していただきたいこと
・尾瀬ではゴミの持ち帰り運動を行っています。ご協力をお願いします。
・木道は右側通行です。
・歩行中の喫煙は御遠慮ください。
・山小屋は予約性です。お早目にお申し込みください。
・キャンプの指定地は、山の鼻(至仏山荘)、見晴(燧小屋)、尾瀬沼キャンプ場の3か所です。それぞれの小屋で許可を取ってください。
・燧ヶ岳、アヤメ平付近は、6月下旬まで残雪がありますので、特にご注意ください。登山の際は「登山者カード」に御記入ください。至仏山は、例年雪解時から6月マツまで植生保護のため、入山の自粛をお願いします。
・山ノ鼻の至仏山頂(通称:東面登山道)は植生保護及び登山者の安全のため「上り」でのご利用をお願いします。
(出典:群馬県片品村役場むらづくり観光課、片品村観光協会「尾瀬国立公園周辺案内図」 )